眠っている時に、呼吸が頻繁に止まる「睡眠時無呼吸症候群」。
太った男性の病気と思われがちですが、女性にも意外に多いことが分かって来ています。
昼間に強い眠気を感じて運転事故などの危険が高まるのに加え、
生活習慣病にもなりやすいため、気になる人は早めの対処を心がけましょう。
◆肥満でなくても!!
睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、睡眠中、10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上あり、
日中の眠気などの症状が伴うこと。
大半は、空気の通り道である気道が塞がれることで起きます。
大きな要因としては肥満です。
太ると、のどや舌などに脂肪がついて気道が狭くなるります。
眠って口の中の筋肉が緩むと、舌の根や軟口蓋が下がって気道を塞ぎます。
日本人の場合は、あごが小さい、下あごが後ろに下がっているなどの骨格的な問題もあり、
肥満ではない場合も3割程度いるとされています。
男性の病気のイメージがあるが、実際は女性の患者も少なくないそうです。
◆閉経後に増加!!
男性の発症率は成人の9%程度であるのに対し、女性はその2分の1~3分の1はいるといいます。
女性の発症率が低いのは、女性ホルモンの「プロゲステロン」(黄体ホルモン)が呼吸中枢を刺激して、
上気道を拡張する働きを持つためです。
女性がいびきをかきにくいのも、そのせいとされています。
このため、女性ホルモンの分泌が大幅に減る閉経後には発症が増えるそうです。
50歳以降だと、発症率の男女差はそれほどなくなるといいます。
「男性の病気」のイメージが強いことや健診を受ける機会が限られることもあり、
女性で治療を受けている人の割合は、男性に比べて大幅に低いのが現状との事です。
■合併症の危険!!
睡眠時無呼吸症候群は、2003年に新幹線運転士の居眠りをきっかけに広く知られるようになりました。
また、この病気は、昼間眠いだけでなく、生活習慣病を引き起こす要因になることも指摘されています。
血圧は夜になると通常下がりますが、無呼吸で目が覚めてしまうため、下がらないままになります。
頻繁な無呼吸で血液中の酸素濃度が下がることは、動脈硬化や自律神経の乱れ、糖代謝の異常など
を起こします。
高血圧や脳卒中、糖尿病などを招くうえ、治りにくくなります。
■CPAPで改善!!
睡眠時無呼吸症候群を根本的に治すことは難しいですが、症状を改善することはできます。
1時間のうち呼吸が30回以上も止まる重症の場合、鼻につけたマスク状の器具から圧縮した空気を
気道に送り込む「シーパップ(CPAP)」が最も有効です。
症状が軽ければ、寝る前に歯に装着してあごを少し前に出すことによって気道を広げる
「口腔(こうくう)内装置」(マウスピース)もあります。
睡眠時無呼吸症候群は日常生活に支障があるだけでなく、
合併症を起こせば死にもつながりかねない病気です。
特に女性は病気が見逃されがちで、気になる症状があれば検査を受けるべきです。
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