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認知症の原因の一つ

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タンパクが周りのタンパクによって影響されることが原因でおこる脳の病気を知っていますか?

 

牛海綿状脳症(BSE)を覚えている人もいると思いますが、

俗名の『狂牛病』といった方がピンと来る人が多いかもしれません。

米国からの牛肉の輸入が制限され、牛丼が提供されなくなったことがありました。

 

問題の原因は『プリオン』と呼ばれるタンパクです。

 

タンパクはアミノ酸がつながった長い鎖のようなものです。

しかし、体内で本来の能力を発揮するためには、うまく鎖が折りたたまれて特定の立体(3次元)構造を

持つことが大切です。

ところが、何らかの原因でプリオンの折りたたまれ方がおかしくなると、異常なプリオンが出来ます。

 

実は、この異常プリオンがあると、正常に折りたたまれた正常プリオンもおかしな折りたたまれ方に変わり、

どんどん異常プリオンが増えていきます。

 

その結果、脳がスポンジ状になって、いわゆるプリオン病になり死に至ります。

 

多くのタンパクは酵素によって分解されますが、異常プリオンは分解されません。

また熱を加えてもその能力は損なわれません。

その為、BSEに感染した牛肉を加熱して食べても危ないのです。

 

プリオンは感染します。

異常プリオンを健常な動物の脳に注入すると、その動物はプリオン病を発症します。

人でもやはりプリオン病(変異型クロイツフェルトヤコブ病)になります。

また、異常プリオンを持った人の臓器移植が原因でも感染します。

 

実はこうしたおかしな折りたたまれ方をしたタンパクは、他の病気の原因にもなっています。

パーキンソン病アルツハイマー病もそうなのです。

こうした異常なタンパクが脳内に蓄積することが大きな原因になっているます。

 

例えば、アルツハイマー病の原因の一つは、おかしな折りたたまれ方をしたアミロイドβ(ベータ)というタンパクです。

 

この異常なアミロイドβも、異常なプリオンと同様に細胞から細胞へ、動物から動物へと感染するということが

報告されています。

米国の研究機関で行った研究で、アルツハイマー病でなくなった方の脳組織をネズミの脳に注入すると、

ネズミの脳内で異常なアミロイドβが増えることが分かったそうです。

驚くべきことは、異常なアミロイドβをほんの少し付着させた針をネズミの脳に埋め込むだけで、

異常なアミロイドβが増えたという事で、針を事前に煮沸してもこの増加は防げなかったそうです。

 

一般的には、人の手術に使用する器具はプラズマ滅菌というのを行います。

これを行うことにより異常アミロイドの増加を防ぐことができ、手術器具から感染することはないようです。

また、一般的な生活を送っていてアルツハイマー病が感染するとは考えにくいのでご安心ください。

 

様々な脳の病気がこの異常なタンパクが原因となっていることが分かってきており、

近い将来には、どうすれば病気の進行を止められるか、また病気を予防できるかが、

今後の研究で明らかになる日も近いかもしれません。

 

 

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